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ケーススタディー: ミズノ様

新素材「MIZUNO ENERZY」搭載の新シューズ『WAVE DUEL NEO』

「ミズノ史上最高」の柔らかさと反発性
初のオンライン発表会、臨場感を演出

熾烈なランニングシューズ競争に「反撃」を宣言しメディアの注目を集めたミズノ。7月1日に行われた「ミズノ新素材&新商品プレスカンファレンス」は同社初のオンライン発表会となったが、リアルイベントをライブ配信するというハイブリッド型で臨場感を演出した。社長プレゼンはもとより、ゲストのトークや囲み取材まで“フルコース”の内容がリアルタイムで配信され、画面を通じ会場と同じ空気感を共有できたと好評だったという。新型コロナウイルスの影響で加速する発表イベントのデジタルシフト。リアルとオンラインの融合から何が生まれたのだろう。

ミズノ
ブランドマーケティング部
メディアコミュニケーション課
課長補佐
山本美香子氏
7月1日に新素材「MIZUNO ENERZY」と新素材を搭載した新シューズ『WAVE DUEL NEO』、コンセプトモデル『THE MIZUNO ENERZY』などを発表しました。発表会で水野明人社長がまず手にされていたのは、新商品ではなく、箱根駅伝で区間新を出した創価大学の嶋津雄大選手が履いていた「白いプロトタイプ」のシューズでした。

「白のプロトタイプ」は1月の箱根駅伝で話題になってから少し時間が経っていましたが、その後もメディアでご紹介いただき、お客様からのお問い合わせも続いていました。メディア・ユーザー双方にとって最も話題性があるのは「白のプロトタイプ」だと考え、これをフックに発表会のストーリーを組み立てました。

当社では商品の発表会に社長が出席することは珍しいのですが、今回の発表会は力を入れてきた素材開発のお披露目ということで、まず社長が「白のプロトタイプ」を持って登壇し、箱根駅伝で区間新記録を出した嶋津選手がこのシューズを履いていたことを第一声で触れました。

発表会でのキーワードは「ミズノ史上最高の反発性」でした。その反発性を体感できるコンセプトモデルは、近未来のようなユニークなデザインで注目を集めました。

新素材の一番の特長で、ユーザーメリットでもある「反発性」を前面に押し出しました。コンセプトモデル『THE MIZUNO ENERZY』は、見た目がとても斬新ですよね。これをきっかけに新素材に興味を持ってもらえたのではないかと思います。おかげさまでオンラインショップでは発売後すぐに完売となりました。

近年ランニングシューズ市場を席巻しているのが、カーボンプレートの入った「厚底シューズ」です。ミズノさんもカーボン素材をゴルフのシャフトに使用されるなど、カーボン素材にも定評があります。にもかかわらず、カーボンでなく、一から素材開発に取り組まれたことに驚きました。

スポーツ用具メーカーとして、野球のバット、ゴルフクラブなど、用具の反発力について長年研究しています。そんな中で生まれた柔らかさと反発性に優れた新素材がシューズの担当者に持ち込まれ、約2年前からプロジェクトが始まりました。決して某社の「厚底シューズ」に対抗して開発したものではありません。

発表会前の6月における都内の新型コロナの新規感染者数をみると、2ケタ台が続き、落ち着きを見せていた時期でした。発表会はミズノさん初のオンラインでの実施となりましたね。

感染拡大防止の観点からしても、会場に数多くのメディアの方にお越しいただく通常の発表会は難しく、オンラインでの発表会にチャレンジしていこうという判断は早々にしていました。発表会の内容は通常の発表会と同じにし、「Microsoft Teams」を使いライブ配信しました。

オンライン発表会は参加者の場所を選ばずに広く情報が届けられる利点がありますが、生でご視聴いただけない方もいらっしゃいますので、メディア素材として動画を付けた点がオンラインならではでしょうか。

動画により、7月1日以降も多くの方に発表会の模様をお届けできたことはオンラインのメリットであり、新しい発見でもありました。この動画に加え、スチールと会見中にオンラインでいただいたご質問を17項目にわたるQ&Aにまとめ、参加された方にお送りしました。

配信中はこちらからは視聴される方のお顔を見ることができず、皆さんきちんと視聴できているかどうか不安でした。結果的に大きなトラブルもなく、スムーズに進行できました。発表会当日、私たち広報は最小限の人数で、受付や質問への回答などに奔走しました。

発表会の模様は、多くのメディアで取りあげられました。全国紙5紙の換算値は868万円に上り、7月度の新商品ランキングで4位に入りました。どんな取材誘致を展開したのですか?

新素材は、今後いろんな競技に展開していくこともあり、当社とお付き合いのある媒体以外にも広く取材誘致したいと考え、自社だけでなくPR会社さんにもご協力いただきました。

シューズは皆さんが普段から履くものということもありますし、メディアへのお声掛けは全方位で行いました。オンラインで視聴されたのは約170人で、会場にお越しいただいたテレビを含めると、視聴者数は200人くらいになりました。

オンライン発表会ということではありますが、社長プレゼンをはじめゲストのトークセッションなど、会場で進行しているリアルイベントをライブ配信したハイブリッド型のイベントになっていたのですね。

オンラインとはいえ、リアルに新素材の魅力をお伝えしたいと考えました。オンラインで行うことを決めたと同時に会場を「MIZUNO TOKYO」に決めました。

直営店のエスポートミズノ東京店を3月に「MIZUNO TOKYO」にリニューアルオープンしましたが、コロナの影響でメディアへのお披露目ができませんでした。「MIZUNO TOKYO」を知っていただくという意味もあり、テレビの報道番組や情報番組などにお越しいただきました。

6月はコロナの感染も小康状態でしたが、会場に来てもらうことはハードルが高いのではないかと悩みました。ですが、会場への来場を一部のメディアに限定させていただければ密にならない状況がつくれると判断しました。たくさんのメディアでお取りあげいただき、多くのユーザーの方の声を聞くことができました。これほどの反響は過去に経験がありません。

実際にPCの画面で発表会を視聴しましたが、「臨場感」「ライブ感」が感じ取れました。ゲストの松岡修造さんとラグビーの田中史朗選手は、「MIZUNO ENERZY」の特長である「反発性」をご自分の体験と合わせて語っていました。また、陸上の飯塚翔太選手は試走を披露され=写真、シューズの良さが画面越しに伝わってきました。

ありがとうございます。前半は社長のプレゼンなど報道系、後半はゲストのトークショーといったエンタメ系に分け、メディアの方にどの部分でもいいので興味を持ってもらえるように組み立てました。

長くブランドアンバサダーを務めてもらっている松岡さんが飯塚選手、田中選手のお話を引き出してくださり、上手く仕切ってくださいました。ゲストパートを入れることで、単調にならずに楽しくご覧いただけたのではないでしょうか。

ゲストの方には事前にシューズをお渡しして新素材を体感していただきました。発表会では、飯塚選手に『WAVE DUEL NEO』を履いてもらいトレッドミルで実際に試走していただきましたが、使用シーンがあれば、シューズの良さを訴求する絵づくりがしやすくなるのではと考えて入れた部分でした。

『WAVE DUEL NEO』をこうして持ってみると本当に軽いですね。7月以降、新素材搭載のシューズのリリースが相次いでいます。

『WAVE DUEL NEO』は片方(26.0cm)で185gしかありません。皆さん素足感覚とおっしゃいますね。足を包みこむようにとフィット感にこだわり、ハイカットになっているのも特長の一つです。

新素材の搭載モデルは続々登場しています。中でも『WAVE RIDER 24』は、人気のある『WAVE RIDER』シリーズで、かかと部には新素材が搭載されると同時に波形形状の「MIZUNO WAVE」が採用されています。『WAVE RIDER 24』の柔らかい履き心地をぜひ体験していただきたいですね。引き続き、「MIZUNO ENERZY」を覚えていただけるような広報に取り組んでいきたいと思っています。

最後に、コロナ禍での広報活動についてどんなことをお感じになりますか?

7月にミズノがゴルフメディア向けに開催したオンラインフィッティング勉強会で、当社と契約する時松隆光プロが「ミズノパフォーマンスフィッティングシステム」を体験した模様を披露してくれました。時松プロは福岡を拠点に活動されていますが、オンラインなら一つの会場に集まらずコミュニケーションが取れるイベントが可能です。また、当社所属の飯塚選手もオンラインインタビューで今後の意気込みを語る機会があり、大変好評でした。

もちろん対面での取材やイベントは大事ですが、オンラインの新しい可能性や広がりを模索しているところです。コロナ禍にあっても、広報は工夫次第だということをオンライン発表会であらためて感じました。

<ミズノ株式会社> 創業:1906年4月1日
新素材「MIZUNO ENERZY」の開発は2年がかりで、社内でも極秘プロジェクトとして進められた。「私が初めて目にしたのは昨年だったと思います。やはりコンセプトシューズはインパクトがありましたね。今までのミズノにはないデザインで、とても面白いと思いました」と山本さんは振り返る。縦読みでも話題になった「本気の反撃」広告など「ミズノではどんどん変わっていこうという雰囲気が高まっています」と山本さんは言う。初のオンライン発表会を成功させたミズノ広報。今後もチャレンジングな姿勢で積極的な情報発信を心掛ける。
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